インプラント治療
インプラントとは
インプラントとは、歯を失った場所に人工歯根を埋め込み、天然歯の代わりをさせる治療法です。
インプラントはあごの骨にしっかりと結合するため従来の入れ歯のようにグラグラしたり外れたりことはありませんし、違和感もなく固いものでもよく噛めます。
また入れ歯のプラスチックの床(ピンク色の部分)や、残っている歯に引っ掛けるバネが必要ないので、口の中がスッキリとし、本来の自然な顎の運動機能が甦ります。
院長から皆様へメッセージ
歯を失った時、選択できる治療法は?
歯がなくなった時の治療法には、かむ力やその他の力を何が負担するかによって、ブリッジ、入れ歯、インプラントの3種類に分けられます。どの治療法で治しても、治療後末永く健康で、それ以上歯を失うことなくいられたら幸福です。ところが、下記の様なデータがあります。少し古いデータですが銀歯や詰め物をした場合の、再治療が必要になった年数の表です。現在の修復物は製作精度やクオリティが高いので寿命はこのデータが発表された時より長くなっていると思いますが、いずれ修復物には寿命があるという事です。このためいつか必ずは再治療が必要になってきます。
修復物 | 二次う蝕 | 脱落 | 歯髄炎 | 平均使用年数 |
---|---|---|---|---|
アマルガム充填 | 7.4年 | 8.4年 | 6.0年 | 7.4年 |
インレー | 5.8年 | 4.1年 | 5.3年 | 4.6年 |
鋳造クラウン | 8.2年 | 6.2年 | 8.9年 | 7.1年 |
ブリッジ | 10.1年 | 6.2年 | 7.5年 | 8.0年 |
ジャケット冠 | 6.4年 | 5.0年 | 4.0年 | 5.9年 |
参考文献: 歯科修復物の使用年数に関する疫学的研究
森田 学 , 石村 均 , 石川 昭 , 小泉 和浩 , 渡邊 達夫
口腔衛生学会雑誌 45(5), 788-793, 1995-10-30
ここで私がみなさまにお伝えしたいことは一本の歯を失ったときに、その治療法として安易にブリッジを選択しないでほしいという事です。ブリッジを入れると二本の歯で、三本分の歯を支えるわけですから負担が増えてしまいます。また上記のデータでもブリッジの平均耐用年数は、平均8年と報告されています。当然再治療を繰り返す事で前後の歯にはどんどんダメージを与え、数年後にはその前後の歯を失い今度は入れ歯を入れざるをえなくなります。入れ歯にはバネがついていて最低2本から数本の歯にそのバネを掛けることで維持・安定を図ります。すると今度はバネのかかる歯に負担が増えてしまい、一本また一本と歯が失われ、またさらに入れ歯が大きくなって、残存する歯の本数も減少していくのです。結果、食べることやしゃべることも不自由になりますし、審美障害も起きてきます。
つまり、「負の連鎖」はたった一本の歯を失うことから始まるのです。
一方インプラントは単独で欠損した歯の部分を負担しますので、隣接する歯へのダメージはありません。しかも歯を失う以前の状態に戻ることができるのです。
現在の治療方法で唯一「負の連鎖」を止め、残っている歯を守れるのはインプラント治療だけなのです。
以前入れ歯の講習を受けた時の話です。そのときの講師は大変すばらしい技術、理論をもち、全国に多くの門下生がいる有名な方です。私のクリニックでも入れ歯の患者様がいらっしゃったときは、そのときの教えを実践して良好な結果を得ています。しかしその入れ歯の大家ですら「いったん部分入れ歯を入れれば、バネのかかる歯を1本ずつ失い、いずれ総入れ歯になる」という事をお認めになっていました。
現在の治療方法で唯一「負の連鎖」を止め、残っている歯を守れるのはインプラント治療だけなのです。
入れ歯はバネのかかる歯だけではなく顎にも支えを求めます。顎に加わる力は顎の粘膜を介して骨に伝わります。その結果だんだんと骨が萎縮し、高さが無くなって来ます。ある研究結果によると入れ歯による顎の骨の萎縮は1年で0.5mmだそうです。単純計算で10年で5mm、20年で1cmも顎の骨が減ってしまう訳です。入れ歯の長期間にわたる使用により入れ歯を支える顎が平らになり、入れ歯の安定は失われ、ますます噛めなくなってしまいます。
バネのかかる歯の保存、あごの保存にもインプラントは唯一の手段で、入れ歯に比べかむ機能も格段に向上させることができます。
インプラント治療のメリット
メリット-1
歯が1本抜けている場合、従来の治療法では両側の歯を削りブリッジという方法が取られていました。しかし、インプラントなら抜けた部分のみにインプラントを行うことができるので、他の歯を削る必要はありませんし、両隣の歯に害を及ぼしません。
メリット-2
たくさんの歯が抜けている場合、従来のブリッジなら残っている歯だけで、かむ力を支えなければなりません。このかむ力はとても大きなものですので、残っている歯に多くの負担が掛かり、自命が縮まる危険性があります。
インプラントにすると、本来の歯数のバランスがとれますので、咬合圧(かむ力)による負担が少なくなり結果残っている歯の負担軽減になります。
メリット-3
奥歯が抜けている場合、従来の方法では、取り外しする入れ歯でしたが、インプラントにすると、取り外さないですむブリッジが入りますから、しっかりと固定され、安心して食事ができます。
インプラント治療の注意点
歯が1本抜けている場合、従来の治療法では両側の歯を削りブリッジという方法が取られていました。
しかし、インプラントなら抜けた部分のみにインプラントを行うことができるので、他の歯を削る必要はありませんし、両隣の歯に害を及ぼしません。
よくある疑問や質問
インプラントをして身体に影響はありませんか?
当クリニックで使用しているインプラントは整形外科領域では人口関節で有名なアメリカのZimmer社製のカルシテック・インプラントで、表面に使われている材料は、ハイドロキシアパタイトと呼ばれ、顎(あご)の中で積極的に骨と結合しようとする生体活性材料です。他のインプラントシステムと比較しても、さらに生体と馴染みやすく、身体には全く影響はありません。
年齢その他で、インプラントが出来ない場合がありますか?
インプラントは、体調に問題がなければ、若い人から高齢の方まで治療を受けることができます。高齢で顎(あご)の骨の少ない方は、特別の方法でインプラントをすることもできますので、ご相談ください。
インプラントはどんな人に適していますか?
- 取り外しの入れ歯が嫌いな人、または仕事その他の事情で不都合な人。
- 歯が抜けた所を治療するために残っている歯を削られたくない人。
- 入れ歯で、発音や発声に不便を感じている人。
- 総入れ歯が合わず、生活にも支障をきたし、不快感を抱いている人。
- 歯周疾患などでたくさんの歯がなくなり、入れ歯を装着すると残っている歯に悪影響を及ぼすと考えられる人。
インプラント治療後お口の手入れは特別な方法が必要ですか?
天然の歯とインプラントの形態は同じではありません。
そこで歯ブラシだけでなく、インプラントの形態に合わせた補助清掃器具を使用する必要があります。
指導された清掃方法で、毎日必ずお口の中を清掃して下さい。
インプラント治療の流れ
診断と治療計画
レントゲン写真、口腔内模型、CTなど資料をもとに専門医が診断し治療計画を立てます。そして治療計画について説明し質問等に詳しくお答えします。
準備
手術の予定が決まったらそれまでの間に、全身の健康チェック、お口の中の清掃、歯石の除去、手術前後の注意事項の説明などを行い手術に備えます。
手術
手術自体は局所麻酔下で行います。また、場合によっては心電図、血圧等のモニタリングを行っていますので安心して手術を受けることが出来ます。五橋デンタルクリニックでは不安感の強い方には静脈内鎮静法による麻酔も行っています。
術後の処置
インプラントは周囲の骨と結合するのに約8週間~16週間かかります。その間は定期的に検診し状態をチェックします。インプラントと骨の結合を専用の測定器で確認し、ヘッド部を装着して歯冠を被せて治療終了となります。
定期検診
装着後も定期的にインプラントおよびインプラントブリッジの状態や、歯肉状態のチェックの為に来院してもらいます。
インプラント治療の主なリスク副作用
治療後、痛みや違和感、出血、腫れなどが出る事があります。
強い衝撃を与えると、被せ物が欠けたり割れたり、外れたりする事があります。
メンテナンスが不十分な場合、インプラント周囲炎になる事があります。
必ずしもご希望通りの見た目にならない事があります。